HL開催事例
日本の開催事例から
『ヒューマンライブラリー』に掲載された20団体の事例から具体的にこれまでの日本での開催事例に基づいてみていきましょう。下記の表は、坪井が、学会発表(2018年6月、第39回異文化間教育学会大会)で使用した表です。坪井ら編著『HL』(2018)には、日本の20団体のHL実践が掲載されています。その実践事例を分析したものです。日本国内のHL実践は比較的共通性が多いと思っていたのですが、多様な実践が見られて興味深い結果でした。 大雑把に言うと、一つは特定のテーマで本を選んだか否かです。特定のテーマで本を選んでいないケースが16団体、開催回数で言うと66回あります。何らかの特定のテーマで「本」を選んだ団体が7団体、10回あるという結果です。特定のテーマとは、具体的に、在日外国人など民族の異文化に焦点を当てて「本」を選んだケース。「見えない障害」(視覚障害者だけでなく、障害者のように見えない障害者を含む)をテーマに「本」を選んだケース。「働く」をテーマに変わった仕事をしている人を集めてケースなどです。
(出典、坪井口頭発表資料より、2018年6月、第39回異文化間教育学会大会)
「読者対象」は、一般公開されたか限定(受講生)対象かという違いです。クローズドで開催されるケースは、企業などで従業員向けに開催する場合も含まれます。 開催場所は、大学・学校と学外かであるが、開催団体数で12対11、開催回数36対39でほぼ拮抗しています。近年、大学外で開催するケースが多くなっており、特に2018年6月までの上半期は12回開催されていますが、その内大学での開催は1回だけです。HLの開催主体が、大学から民間団体、市民団体に広がりつつあることを示しています。 (2018年6月、第39回異文化間教育学会大会での坪井の発表より) 詳細は、上記の文献をご覧頂きたい。
HLの実践と研究の拡がり ―将来展望の全体像
なお、上記の文献の「おわりに」にも図示しましたが、HLの研究と実践の拡がりは、多方面に開かれており多様な実践と研究が可能です。ここにそれを再掲しておきます。 (坪井・横田・工藤編『HL』明石書店、2018、p.353)